第21章 ハロウィンの夜は危険がいっぱい?
「もー、そんなに怒ってたら皺が増えるよ?」
「そうそう、最近皺が酷くて化粧水、乳液を入念に塗り込んで....ってなに言わせんだ!」
ヴァンパイアに関係ないから!
皺とかないから!そもそも死んでるようなもんだからね?!いや、生きてるけど!
「あれ?居ないな?どこいっちゃったんだろ?」
僕のことを無視してあたりを見渡すトド松。
なんかカラ松の気持ちがわからなくもない、心にすきま風が吹く感じ。
「所で、運ぶの大変じゃない?」
片足だけ持って引きずってきたから、正直重い、重いったら重い。
「ねぇねぇ?久しぶりにやっとかない?」
その意味を一瞬で把握する。
いや、むしろ運ぶのにその姿になるとか逆に非効率だと思うんだけど?
「もー、いいじゃない?たまにはさ?せっかくのパーティーだし!それに、僕今日ちょっと機嫌いいし!」
ウィンクをするトド松、あざとい、こいつやっぱりあざとい。
「ねぇ、トッティそのあざとさってどうにかならないもんなの?」
「えー!僕全然あざとくないよ?むしろあざといってなぁに?」
小首を傾げるな、目をうるうるさせるな、それがあざといって言うんだって言ったらひどーいってプクッと頬を膨らませる。
もはや行動の一つ一つがあざといを狙っているとしか思えない。
トド松までボケに走られたら、僕もうツッコミ疲れで本当に灰になりそうなんだけど
もちろん物理的な意味で
「ほんっとノリが悪いんだから!いーよ、僕一人でやっちゃうから!」
そういって指をパチンと鳴らすと、トド松の体が白い煙に包まれていく。
ふわりと甘い甘いベリー系統の匂いがまわりに広がる。
ピンク色の髪に、くりっくりの目を潤ませた中性的な顔立ちの男が煙の中から現れる。
奇跡のルックス!キューティーフェアリー!松野 トド松!ここに召還!
「あはっ!皆今日は特別に僕と一緒にハロウィンを楽しもう!」
手をふりながら挨拶するやいなや、人だかりならぬ妖怪だかりの出来上がり。
「きゃー!キュートキュートすぎるぅ!」
「こっち見てー!そのウルキュンキュートな瞳で射ぬいてー!」
こうなると妖怪も人間も変わらない。