第5章 スパンコールは優しさの煌めき
急降下しながら手をのばす。
それにしても、悲鳴もあげないのか....
まるで、生きることを諦めているみたいだ。
レディの手をとり、自分の方へと引き寄せる。
小さな身体だ、折れそうなくらい小さな....
どんなことをしても守ってやる....
今度は絶対に....
あの時俺は動くことができなかった。
おそ松に血を吸われ悶絶するレディの顔を思い出す。
俺は何もできない、何もできないんだとそんな感情が渦巻いていた。
一松も同じ感情だったんだろう
悲しいを瞳に宿す。
そんななかで、レディと目が合う。
一瞬弱まった瞳の色が、また強くなったかと思うとにこりと笑った。
「そんな悲しい顔してんじゃねーよ!」
そう言っているように聴こえた。
儚げな見た目からは想像もできない、強く強く眩しい光だった。
美しい....
それ以上の言葉を俺は見つけ出すことができなかった。
人をこんなに美しいと感じたのは久方ぶりだった。
落下速度はかわらない.....
強い瞳を持ったレディ....
今ここで死なすには惜しい....