第5章 スパンコールは優しさの煌めき
いいムーンナイトだ。
こんな日はフルムーンをみながら、空を漂うに限る。
ふわふわと空中を漂いながら歌を歌いたい気分だ。
1●の夜でも歌おうか?
ブランデーグラスに入った麦茶を飲みながら、鼻唄を歌う。
昨晩は大変だったな....
チョロ松が鈴音ことレディを連れていった後に、十四松を宥めるのは本当に苦労した。
まぁ被害は少なかったが....
十四松はああなると、力が暴走し暴発する。
.... 優しさゆえだ。
想いの強さは力に比例する。
まぁ、普段十四松は力をコントロールしているからそこまで困ることでもないが....
そうなるなら一松の方が厄介だしな....
グラスを傾けながら、自分の浮いている位置より下にある剥き出しの古いドアに目をやる。
これが十四松が暴走した結果だ。
屋敷が半壊したときのもので、直すのが面倒だからとそのままになっている。
あれのせいで、何回落ちそうになったことか。
.... いや、実際なん十回落ちたことか。
最近じゃ落ちることも少なくなってきた。
ふーっと1つため息をつきながらドアを見つめる。
バンっ!
勢いよくドアが開く。
何事かと思えば、半裸の女がドアから勢いよく飛び出してきた。
レディ?!?!
言うまでもなく地面へと落ちていくレディ
俺はレディの名前を呼びながら、必死に手を伸ばした。