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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第20章 桜が舞えば想いは消える



月明かりで明るい教会

初めてあつしくんと会った時は、真っ暗であつしくんのこと幽霊と間違ったっけ?

もう誰もいない教会

僕は迷いなく其所へ歩く。
ぎいっと開いたのは、懺悔室の扉だった。

誰もいない、そう思っていたのに先客がそこにいた。


長い黒髪、懺悔室で膝まずく後ろ姿


僕がドアを開けたことに気づいたのか振り向くのは、僕と同じ目的でここにいるであろう人間の女の子

「....待ってました」

消えそうなくらい儚い声だった。
月に照らされる白い肌

その白い肌に合わない赤く腫れた目

「....誰?」

本当は聞かなくたってわかる。
この人も僕と同じだから

「あつしくんの、お友達ですよね?」

震えている指先、この子僕の正体をたぶんわかってる。

「君は、あつしくんの....?」

見つめ合う瞳は、お互いがお互いに誰だかわかっている。

「君も、懺悔しにきたの?」

親友が愛した女の子
会うのはこれが初めて

へー、こういう子が好みなんだなんて思う。
見るからに弱そうな女の子だ。守ってあげたくなるタイプとでも言うのかな?

あつしくんの婚約者じゃなかったら、手を出してたかもね。

「ずっと、待ってました....ここにいれば必ず会えると思って....」

待ってた?
その一言に僕は目を見開く。

またなんかぶっ刺されるの僕?
そっとお腹を擦りながら、あつしくんに刺された時のことを思い出す。

あれは痛かった。
いや普通に痛いよね。

痛かったとかそんな問題じゃないよね。
しまった色々ありすぎて、もっと文句言ってやればよかった。

....もっといってやれば

「....やっぱり、貴方はあつしくんを好いていて下さったんですね....」

目に涙をためながら、僕をみる。

「....僕のせいで、あつしくんは死んだ.... だから....もし君が僕を殺したいなら....」

殺される覚悟がなかった訳じゃない。
僕がこの子の最愛の人を奪ったんだから

目を閉じて、両手を広げた。

あのヘドがでそうな奴に殺されるのは嫌だけど、この子にならかまわない。

そう思っていたんだ....


でも....


「....違うんです」


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