• テキストサイズ

【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第20章 桜が舞えば想いは消える



ヴァンパイアが神様に祈るなんて滑稽だよね。

でも祈らずにはいられなかった。

あつしくんの言葉を忘れたことなんてないんだよ。

この言葉は大切な人が迷わないようにいう言葉なんだよね?

「あつしく....」

血溜まりの中で、想うのは君を失った悲しみ

心が切り裂かれたみたいで
その感覚は自分がここに存在しているのかわからなくなる感覚

遠くなる意識
もしここで死ねたら

神様は僕も導いてくれる?
あぁでも、僕もあつしくんも二人とも神様信じてない派だったっけ?

巡るのは馬鹿みたいな思い出

「僕も僕もさ、あつしくんに出会えてよかったよ....」

偽りのない言葉は、僕自身の首を絞めて
僕と出会いさえしなければ....

こんな結果にならなかったのにと、そう思った

体が重い

心も

泣き疲れているはずなのに、涙が止まらない

「僕、僕最後まで間違いなく言えた?」

もう返事を返してくれない冷たい親友に、語りかける。

でもわかるよ?

完璧じゃん、ヴァンパイアのくせにそれっていいのって笑ってくれるよね?

わかるよ


わかるけど....


でもさ

あつしくんの口から聴きたかったよ?


ゆっくりと目をつむる。
ふわっと後ろへ倒れる体。

体への衝撃さえも、もう痛くない

心の方がずっとずっと痛い

冷たい風が、紅茶とチョコとが混ざった血の匂いを空へ運ぶ。

うっすら目を開けてみた空は、たくさんの星が輝いていて

僕の流した涙の分を散りばめたみたいで....


あんまり綺麗でそれでいて悲しかった....
/ 682ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp