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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第20章 桜が舞えば想いは消える



「あつしくん、僕の....僕のせい....で.... ごめっ、こんな.... こんな.... 」

流れ出す赤い液体、それを止めようと必死で手で押さえるけど止まることなんてない....

真っ先に浮かんだのはチョロ松兄さんの顔だった。

馬鹿にしていた、心の何処かで見下していた力

チョロ松兄さんなら、あつしくんのこと助けられるのに

でも僕にあるのは、人を惑わせる力で
心を操る力で

そんな能力がなんの役に立つっていうの?

「あつしくん、僕、僕は....んで、なんでなんだよ、こんな、ちくしょう!」

泣き続ける僕の視界にうつるのは、にやっとかすかに笑うあつしくん

「そ.... んな、ない.... て.... くれ.... んだ.... 」

途切れ途切れに聞こえる言葉

「当たり前でしょ!僕ら、僕ら、親友じゃないか.... 」

その一言に目を少し見開いた後に、凄く凄く嬉しそうに笑う。

「や.... ぱり.... き.... が.... あう.... ね」

そんな、嬉しそうな顔しないでよ。

涙が

悔しさが

溢れて止まらない....

僕を助けてくれた親友を、僕は助けられない。

チャラっと音がして、金のロザリオが僕の視界で揺れる

「いつ....もも.... らって.... ばっか.... だっ.... たか.... ら」

「....ヴァンパイアに十字架渡してどうすんの?馬鹿だね、ほんと馬鹿だよ」

僕はそっと血に濡れたロザリオを受け取る。

すうっと深く息を吸い込んだ。

「....慈しみ深い神である父よ、貴方が遣わされたキリストの子、永遠の命のうちに人生の旅路を終えたあつしを貴方の御手に委ねます。」

大丈夫、ずっと見てきたから
冷たくなっていく親友に贈る言葉

「....私から離れ行く親友の重荷を全て取り去り、天に備えられた住みかに導き、聖人に加えて下さい」

溢れる涙をおさえながら
あつしくんを送る


「別離の悲しみのうちにある私も、主、キリストが約束された復活の希望に支えられ、貴方の元に召された親友とともに永遠の喜びを分かち合うことができますように.... 」

僕が神様に祈るのは、これが最初で最後
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