第5章 スパンコールは優しさの煌めき
爽やかなシトラスの香りがふわりと私を包んだ。
どんっと鈍い音がする。
死んだわ、これぜっっったい死んだわと思っていたのに....
全然痛くなかった。
痛くはないけど、暖かいなにかが私を包んでいた。
ふと地面をみると、青いスパンコールがキラキラと広がっている。
こんなイタイものを身に付けてる奴なんて一人しかない。
「....カラ松....?」
私はカラ松に抱き締められていた。
ばっと体を起こす。
「カラ松?カラ松?嘘、嘘はやめなよ.... 」
目をつむったままのカラ松....
外傷はないけど....
「おい!おいこら!寝たふりとかやめろよ!イタ松!返事!返事しろ!冗談じゃねーよ!」
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!
私のせいで誰かが傷つくの絶対に嫌!
鼻の奥がツンとなって、つうっと涙が流れる。
「や.... いや..... いやだぁ.... カラ松.... いやだぁ.... 起きて.... 起きてよぉ.... お願い.... ふうっ.... 」