第20章 桜が舞えば想いは消える
人間を信じた僕が馬鹿だったんだ。
ただ、それだけ
そんなことを何回も何回も、痛みの雨の中で思った。
暗闇に抱かれて見えないけど、身体中が傷だらけ。
こんなにされて死ねないなんて、本当に不便な身体だよね。
人より頑丈なせいで、こんなに苦労するなんて思いもしなかった。
....いっそ殺してくれたらいいのになんて思う
いったい今が何時で、どれくらいたったのかなんてわからない
ただ遊び半分で、ボロボロにされていく身体
「さあーヴァンパイア様よぉ?今日も楽しませてくれよ?」
「いやー、本当に鬱憤ばらしにはもってこいだよな?乱暴にしても大丈夫だし」
病んでるの僕なのか
「それにしてもよぉ?こいつなかなか可愛い顔してるよな?」
「うわ、ひくわ、さすがに性欲処理にはつかえねぇだろ?男だぜ?」
それともこいつらなのか
「まーまー、サンドバッグで十分だろ?」
「たしかにな!」
あぁ、そうか
この空間事態がもう狂ってるんだ
身体中が悲鳴をいくらあげたって、誰も助けてくれない
人間にいいようにされて
情けない
僕が今までしてきたことの、これが報いなのかななんて、うっすら思えば
理不尽に降ってくる痛みが、その思考を奪っていく。
ギラギラしている瞳が僕の前に集まって痛みを連れてきて、それが何回も何回も
それに耐えても、痛みがひくことはなくて
「そうだ、これしとけって言われてんだよな」
「うわ、マジでか?」
回らない頭の中で、ふと目を開ければ
赤い赤い何かが僕の目の前で止まった。
「さーて何処にする?」
「腰でいんじゃない?なんとなくー」
じゅううっと嫌な音が耳につく。
嘘でしょ?
「....や、やめて」
僕の発した一言にニタリと笑う二人組の男
近づいてくる熱
僕は....
「ああ.... ぅあああああああ!!!!!」
消えない憎しみを体に刻まれた.....