第20章 桜が舞えば想いは消える
「最近、お前が行っている村で人の血を吸う化け物がでたって噂になってるんだよ」
本当にどうやって調べてんのか謎でしかないんだけど、そもそもそんな噂流れてたの?
でももしそれが僕だったとしたら、噂になるなんてあり得ない。
だって相手の血を吸うなら、記憶なんて消し飛ばすし
そもそもご無沙汰だし、色々
「そんなの、僕聞いてないよ?」
小首をかしげて、きゅるんと目を潤ます。
「僕は心配なんだよ、トド松....」
僕の可愛さを無視して、うつむくチョロ松兄さん。
とても心配そうな声でつぶやく。
「どんなに馬鹿な兄弟だって、皆が傷つくのをみるのは....嫌なんだ」
優しいチョロ松兄さん、チョロ松兄さんの心と連動するみたいに風になびいて落ち着かないカーテン
なんとなくそれが気になって、僕はカーテンを留め具でしばる。
「胸騒ぎが....するんだよ」
ぎゅうっと胸を押さえる姿は、本当に子どもを心配するお母さんみたいで笑いそうになる。
「チョロ松兄さんは心配性だよね?そんなに考え込み過ぎてたら白髪増えるよ?」
「うん、最近毛根がって....末弟コラーーーい!!はえてないから!黒いから!ふさふさだから!!」
ノリツッコミ、さすがチョロ松兄さん。
クソつまないし、クソ童貞だけど、まぁそこがチョロ松兄さんだしね!
え?やだなぁ、いい意味に決まってるでしょ?
「とにかく、僕もう子どもじゃないんだから、そんなグチグチ言わないで!」
「反抗期の女の子か!」
この時
チョロ松兄さんの忠告を素直に聴いてたらって....何回思ったかわかんない。
でもどんなに悔いたところで過去は変えられない....