第5章 スパンコールは優しさの煌めき
外に出れたことは出れた。
出れたよ。
外にはね....
もう一度いっとく
外には出れた。
不幸だったのは、出た先に階段も屋根も床すらもなかったってこと....
あんまり突然だったから何が起こったのかはわかんないけど
落ちてる、かなり高いところからだ。
何階くらいなんだろうここ?
落ちる瞬間は意外とゆっくりで、遅い気がする。
やっぱり死ぬのか、こんなとこで?
まぁヴァンパイアに血を吸われまくって死ぬよりかはずっとずっとマシ。
人かヴァンパイアかは知らないけど、自分の命を一生背負われるよりかはいい。
そんな重いものって思われてるのかは謎だけどさ....
少なくとも自分がやられて嫌だったことを、他人にしたくはない。
ヴァンパイアだろうが、なんだろうが....
短い人生だった。
まぁでも、人より色んな意味で濃い密度だったから終わるのも早かったのかもしんない。
こんなことならもっと美味しいもん食っとくんだったわ。
地面が近づいてくる....
目をつむった。
一瞬だよ、死ぬのなんてさ....
「鈴音!!!!!」
必死に名前を呼ばれる
幻聴かなんか?