第20章 桜が舞えば想いは消える
「嬉しい誘いだけど遠慮しとくよ」
即答するんだ。
それで笑うんだよ。
「なんで?人間なんて不便じゃない?空も飛べない、力もない、それに.... 」
ずっと僕と友達じゃいられなくなるんだよ?
「たしかに、人間は不便だよ。面倒だし、でもそんなとこ含めて俺は人間でいたいんだ」
理解ができない。
そんな不便な人間の何がいいっていうの?
「俺思うんだけど、人間だから一瞬の時を愛でられるんだよ」
そんな曖昧な言葉で説明されたってわかるわけないじゃん。
「守りたい奴がいるんだ、トド松くんと同じになったら、その人と同じ時を生きれない」
....はい?
「え?あつしくん、そんな人いたの?」
僕初耳なんだけど?
あんまりビックリしすぎて、目が丸くなってると思う。
「あれ?いってなかったっけ?俺、婚約者いるよ?ついでにいうと、そいつ妊娠してる」
なにそのカミングアウト!!
「待って、うん、待とうか?話の流れについてけないんだけど?」
あんまり突然のことだったせいで、頭がついてかない。
婚約者?妊娠?いやいやいや、おかしいおかしいから。
おそ松兄さん達に、僕が富士山登ったこと言わなかった時、胸がキュッとなったっていってたけど....
こうゆうこと?
いや規模が違うか
「そりゃダメじゃん、全く!僕、誘い損じゃない、返して」
残念だと、心から思ったよ?
無理矢理にでもしてやろうか、なんて思ったりもしなかっと言えば嘘になる。
でもさ
「そういや式しないとな、西洋風にしたら洒落てるかな?喜ぶぞ、きっと」
いつもぼやーっとしてるくせに、すごく優しい顔しちゃってさ。
そんな奴誘えるわけなんてなくて。
本当は寂しかったけど、僕は笑ったんだ。
「西洋風?ばっかだね、日本の伝統重んじて白無垢でしょ?」
「いや、西洋風でしょ?俺、神父だし」
そこ、全く関係ないよね?てゆうか、そもそも神父向いてないとか言ってたよね?
ついでにさ
「誰が誓いをきく神父すんの?」
「俺?」
「馬鹿なの!?」
そんなこと言い合いながら、二人でタバコを吸う。
甘い香りと煙が青空に消えていくのをみながら、笑いあった。