第20章 桜が舞えば想いは消える
「ったく!図々しいんだから!」
僕はチョコとタバコをばっと懐にしまう。
あれだけ人間のこと嫌いだったのに、いつのまにかチョコ作ったりして馬鹿だよね。
「ごめんごめん、トド松くんがくれるチョコ美味しくてさ?」
素直にほめられると悪い気はしない。
「あー、そうだ俺ちゃんとトド松くんにあげてるもんあるよ」
ポンっと何かを思い付いたように手を叩く、またどうせ屁理屈かなんかでしょ?なんて思いながら耳を傾ける。
「時間」
ほらまただよ、結論を先に言う。
その癖どうにかならないのなんていうわりに、僕も耳を傾けてしまうからどうしようもない。
「ほら?俺は人間だから時間が限られてるよね?でも、トド松くんは吸血鬼だから人より多く生きられるじゃん?
つまり俺の少ない時間をトド松くんにあげてるってことにならない?」
うわっなにそれ、とんでもなく恩着せがましい上にうっざいわー
「その考え方は恩着せがましいと思う」
「あっ?やっぱり?でも、こんな甲斐甲斐しくチョコとか作ってきてくれてんのみてたら、俺といる時間大切にしてくれてんのかなって思ってさ」
そして痛いところをつくとこもまたうざったい。
あつしくんは、どうやら僕の痛いところをつくのが上手いらしい。
「そんな気づいて欲しくないとこ、気づくのやめてくんないかなー?」
「仕方ない、俺神父だし、仮だけど」
「関係なくない?!」
もしこんな神父が居たなら絶対僕祈らないし、懺悔もしたくない。
なんでも見抜く神父ってどう?
普通に嫌だよね、むしろ嫌だわ。
嫌でしかないわ。
「本当、神父に向いてないよね?あつしくんって」
「むしろ人間に向いてないとかいっちゃう?」
その一言に僕はぴくっとなった。