第20章 桜が舞えば想いは消える
「トッティーー!!!」
どっかーんと後ろから何かに激突される。
そのせいで湯煎で溶かしたチョコを危うくこぼしそうになった。
「もーー!十四松兄さん!急に抱きついてきたら危ないって!」
「なにしてんの?なにしてんの?」
後ろから僕の肩を持って、空中に浮かんだ足をバタバタとしてる。
「チョコだよ、チョコ、チョコ作ってるの」
お菓子づくりは得意、料理も一通りできる。
自分で言うのもなんだけど、僕って女子力高いよね!
「チョっコ!チョっコ!」
そう言いながら、口からよだれをたらす十四松兄さん
「もー!十四松兄さんにも後であげるから!」
「俺にはー?」
「どうわぁ!!」
いきなり目の真ん前に逆さまになって現れる馬鹿、じゃないおそ松兄さん
「なんでおそ松兄さんにあげなきゃいけないの?自分でやりなよ?あっ無理かぁ.... ごめんごめん、そんな手先の器用なことできるほど繊細じゃなかったね」
思ったことそのままいったら、おそ松兄さんぷくっとして拗ねた。
「んだよぉ、お兄ちゃん泣いちゃうよぉ?寂しがってるよぉ?」
クソ長男が!
「トッティ、そんなに拒むなんてもしかして.... 」
いきなり真顔になってこっちを見つめるおそ松兄さん、相変わらず僕の真後ろで足をバタバタしている十四松兄さん
「トト子姫にチョコ贈ろうとしてんの!?抜け駆け!?抜け駆けなの!?」
「やるなトッティ!!」
なんだって僕の兄弟はこんなにバカなの?
僕あわれすぎるよね、かわいそすぎるよね?
あっ、トト子姫っていうのは、ヴァンパイア三大貴族の一つ、ヨワイ一族のお姫様のことね。
ちなみにその内の一つは、僕ら松野一族。
馬鹿ばっかりだけど....
「ふっ....男は幾度の試練を経て本当のダンディズムにたどりつ.... 」
チュドーーン!
という音とともに真っ黒焦げになるカラ松兄さん。てゆーかいつ現れたの?
「死ねクソ松、そして灰になれ」
うん、一松兄さん、なんとなく予想はしてたよ。そんでもってその意見には賛成だけど....
おかげさまでチョコも僕も丸焦げになったよ。