第20章 桜が舞えば想いは消える
「あつし!!」
ばんっと懺悔室のドアが開く。
うわー、今日も激おこじゃんなんて笑う。
「お前は、また性懲りもなくタバコなぞ吸いおって!!」
「ごめんごめん、ちょっと一服してたんだ」
へらりと笑いながら平気な顔するあつしくん、それと反対に顔を赤くするのはあつしくんの父親。
ウケるわー
僕はというと、高みの見物。
空中に浮いてたら結構バレないんだよ?
ふふっ
「この不良息子が!!」
「やだな?俺が不良ならタバコを吸ってる人全員が不良だよ?
それに、ここは懺悔するところでしょ?
俺は今ここでタバコを吸うことを懺悔しながら、タバコ吸ってたんだよ」
なにその屁理屈!
ダメだわ!馬鹿なの!?ねぇ?!バカなの!?
「またそんな屁理屈こきおって!これだからお前は....」
「あー、笑える?ありがとう父さん」
もうダメだわ、笑いこらえるの必死なんだけど
それでもって毎回思うんだけど、なんであつしくんのお父さん気づかないだろ?
そろそろ気づいてもいいんだけど?
「父さん?俺はね?聖職者である前に一人の信者として生きてるんだ。
そして、生き歳いけるもの全て平等であらねばならないという神の教えを守ってる信者なわけ。
全てということは、タバコを吸う人間も等しく全て平等であるべきだと思うんだ?」
あつしくんに口で勝てるわけないってさ。
「ふ、ふん!また屁理屈を」
あっまた負けてる。
そんなことを思っていたら、バタンと扉の閉まる音。
どうやらまた口で勝てなかったみたい。
「ほんと、親父もこりないよねー」
ははっと笑いながらヤレヤレとするあつしくん。
僕のこと性格が悪いなんていうけど、実際に性格が悪いのはあつしくんだと思う。