第20章 桜が舞えば想いは消える
にやっと意味深に笑うあつしくん。
どうやら結論はすぐそこまで来ているらしい。
「自分自身にだよ」
予想外の言葉に目を見開く。
なに?じゃあ自分に許して欲しいから懺悔室ってあるわけ?
「自分で自分を許すなんて簡単じゃないの?」
思ったことそのまま言ってみたけど、今度は困ったように笑う。
「それが一番難しかったりするんだよ。
自分の罪を振り返るのは、とても怖い作業だしやりたくないでしょ?
その時に振り返って後悔ができるのなら、もう自分を許してやればいいのにね?でもできない人が多いから、懺悔室があるわけ。」
人間って複雑だね。っていったら、これまたその通りだって笑われた。
「だから、人間って面白いんだと思うよ」
そんなこと今まで考えたことなかった。
人間なんてただのエサだってずっと思って生きてきたから.....
「あつしくんてさ、変人だよね。人間だけど絶対変な人種だよ」
空中に浮きながら、くるりと上を向く。
考えたこともなかったことを考えるとき、いつも横にいるあつしくん。
「なんかムカつくけど、特別」
そういって出すのは、チェリーボンボンだ。
さくらんぼのヘタがでてて、可愛いのね?
「おお、うまそ、ありがとう」
そういって口の中にぽいっと二人して、チョコをほりこむ。
甘いチョコが口に広がる。
そのあとにさくらんぼを噛めば、じわりと広がるブランデーの香り。
「このチョコ、トド松くんに似てる」
「へー?どんなとこが?」
「見た目甘そうだし、最初甘いけどそう思ってたらかなり中身がビターってとこ」
それは誉め言葉なのか気になるんだけど
「はっきりいうなら、見た目は可愛いを装ってるけど、性格がわる.... 」
「うん、返してそれ」