第20章 桜が舞えば想いは消える
「なぁ、懺悔室ってなんであると思う?」
それさっき僕があつしくんに聞いた質問じゃん。じとっとした瞳でそっちをみたら、タバコをくわえたままあつしくんは、笑った。
「ほら、同じこといわれたら困るでしょ?」
はめられたよ、一本とられたね。
「これは持論だけどさ」
あー始まったわ、この言葉の続きは何故だかいつも耳を傾けてしまう。
「人間って弱い生き物だからだよ」
結論を先にいうもんだから、いつも戸惑う。
てゆーか、毎度思うんだけどさ?
主語入れてよね!
「弱いなんてわかるよ、力もない、他人を蹴落としあって、自分の欲のために他者を傷つける....それって弱いからだよ」
その言葉にまたははって笑って、その通りだなんて言う。
間接的に自分のこと言われてんのに、笑ってられる神経がわかんないんだけど?
「さすがトド松くん、やっぱり亀の甲より年の功だね」
それ、さらっと僕のことじじいっていってるよね?うわっ、間接的じゃん性格悪っ!
「でもさふと気づくんだよ、自分の生きてきた人生を見つめ直したとき、あの時あんなことをしなければよかったって思うことが」
イスをぎーっと少し後ろに倒して、天井を見つめる姿をみながら、じっと話をきく
「それで後悔するんだ、なかには悔いて悔いて前にも後ろにも進めなくなったりする人もいる」
天井に向かってふーっと白い煙が舞う。
「許して欲しいんだよ、誰かに....でもねそれは違う」
そっと瞬きを2回、じゃあ誰に許して欲しいって言うの?
「神様って落ちなら、あきれるからね」