第20章 桜が舞えば想いは消える
「教会の息子がそんなこと言ったらアウトなんじゃない?」
ふふっと口元を押さえて笑ったら、返ってきた答えもこれまた傑作で
「信じてないんだからしょうがないと思うけど?ほら考えてみてよ、もし神様がいたとしたら戦なんて起こるわけないじゃん?」
そりゃそうだと納得できる答え、でもそれを言ったのが神様を信仰しないとダメな奴が言うからウケる。
「ダメだわ、あーおもしろ!気に入った、いいよ見逃してあげる」
「見逃すって、俺の血なんか美味しくないと思うよ?腹壊すんじゃない?」
「たしかにね?僕可愛い女の子のがいいもん」
「そんなの俺があんたの立場なら一緒だけど」
なんでだかお互い笑いあって、あぁこいつとなら気が合いそうだななんて考えた。
人間とはこれまで関わってきたけど、こんな馬鹿みたいな人種は初めてで楽しいなんて思ったのも初めてで
いつでも殺したり、記憶を奪うことなんてたやすいしまーいっかって思った。
「僕トド松、そっちは?」
さぞ当たり前のような自己紹介だけど、こんな自然に笑って自己紹介したのはこれが初めて。
「あつし、あつしだよ。よろしく」
お互い短めな自己紹介なのが、心地よかった。
何故って?
それは、人種とか自分が何者かとかそんなことお互いどうでもいいって思えたからかな?
ヴァンパイアだとか人間だとか、この場にそんなことは関係ない。
友達になりたいと思ったのが、人間だった。
友達になりたいと思ったのが、ヴァンパイアだった。
お互いただそれだけ....
これが、僕と親友との出会い。
馬鹿みたいなそんな出会いかただった。