第20章 桜が舞えば想いは消える
「べっつにー?ご機嫌うかがいだよ??」
さっきまでベルフェゴールがいた位置、私の真後ろに移動するトド松くん。
鏡に映る姿は、小首をかしげて純粋な眼差しをしている。
きゅるんと効果音がつきそう、要するにあざとい。
そして、私はあざといものには強い。
「気持ち悪い、なに企んでんの?」
トド松くんがあざといを全面に出してきた時は、基本的に何かしらを企んでいる時だ。
「やだなー、僕まるで悪魔みたいじゃん!失礼しちゃうー」
ぷうっと頬を膨らませれば、やはりあざとさが隠しきれない。
「言っとくけど、私にあざとさは通用しないし、アザゼルの件は根に持ってるからね?
さらにいうと、わからずやと言った件も忘れてないからね?」
にーっこり笑いながらそう言えば、ますます険悪になる空気。
しまった、正直になりすぎた。
なんて思って反省し、トド松くんを見てみればスマホをすいすいと操作している。
くそっ、私なんてスマホを奪われたままだっていうのに!
なんて考えてたら、ピンク色の可愛いスマホから聞き覚えのある声がした。
『私にできることならなんでもするから』
....こいつ、本当にないわ
まだそれ消してなかったの?
なんて言ってやろうかと思った瞬間
「....じゃあ、僕を許して?」
ポツンとそんなことを言い出す。
私でなくて、スマホに
すごく寂しそうな顔をして
なにこの新手の謝り方は?
現代人かおのれは!
いや現代人でもそんなことしないよ?
なんでこの人、じゃない吸血鬼こんなに不器用なの?