第20章 桜が舞えば想いは消える
そんな、めんどくさい雰囲気の中で口を開き始めるのはトド松くんだ。
「ベルフェゴール、今日鈴音ちゃんの髪を結うの僕がやるから下がって?」
あっ、これガチでめんどくさくなる予感。
「お言葉ですが、トド松様?トド松様はトド松様の御用意で忙しいでしょう?ここは、《鈴音御姉様のメイドのベル》にお任せ下さい」
なんで、そこを強調したんだ?
そう、実はベルフェゴールがあまりにストーカーな日々を送っていたので、松代さんに頼んでベルを専属のメイドにしてもらった。
あー、一松くんのメイドとしても健在だけど
むしろこうしないと私にずーーっとついてくる。仕事中であろうとも、私の仕事を手伝うと言って離れない。
そんなわけで、専属メイドになってもらった。
だからといって特別どうというわけでもない
「へー、そんなことになってたんだぁ?僕ぜーんぜん知らなかったぁ」
うん、この間一松くんから聞いてたよね?
たぶんだけど
「そんなわけで、鈴音御姉様のお世話はうちの仕事です。トド松様はお引き取りくださいませ?」
一度脅されたことがあるのに、何故か今回は強気だ。
どうやら、私の髪に触れられなかったことが相当に頭に来ているらしい。
なぜわかるって?
この間、私の髪をアモンに結ってもらったら、その現場を目撃したベルフェゴールがすねてめちゃくちゃ大変だったから。
それにしても....
何故このめんどくさい空間に挟まれているんだろう?
そしてその元凶になってしまっているんだろう。
心の中で頭を抱えながら、苦笑いを浮かべる。