第19章 金木犀の香りはデートの予感?
鈴音が進んでいく道を歩いていく、それにしても中は結構明るい。
白い壁、ガラスのショーウィンドーが通路の至るところにある。
残念なのはそのほとんどがシャッターを閉めているということだ。
昔は栄えてたんだろうな、なんてそんなことを考えさせられた。
ポツリポツリと開いてる店もあるけど、これは人なんて来ないわ。
むしろ開いてる店があること事態が凄い。
そんな中をずんずんと進んでいく鈴音、本当に何がしたいのかおそ松くんわかんないんだけど....
幸いエスカレーターは動いていたので、それに乗って上へと登っていく。
「なぁ?ここなーんもないよ?お兄ちゃんともっと楽しいとこ行こ?」
「....例えば?」
エスカレーターの上の段から見下ろしてくる鈴音を見つめる。
なんでそんな悲しそうな顔してんの?
この専門店街のさびれ具合と同化してるって言っても過言じゃないんだけど?
「ラブホとか?」
「....ここで死ぬか?」
一発ジョーク飛ばしてみても、悲しそうな顔は消えない。
辛辣なのは初期装備みたいだけど....
「疲れたね、座ろっか」
ポツンとそう言われる。
何これ、こんなのおそ松くんの描いてたデートじゃないよ?
普通デートってもっと楽しいもんじゃない?
なんて考えていたら目の前のベンチにぼすっと座り出す。
ガラス張りの広い窓から外を見れば、人が小さく見える。
まぁ、眺めはいいな
「....ここね、昔よく来てたんだ」
何か思い出すように鈴音は話始める。
「家族....と」
俺は、鈴音の横に腰かけた。