第19章 金木犀の香りはデートの予感?
「行きたいとこってここ?」
俺がそう聞けば、コクンと頷く鈴音
そこは、海だとか水族館だとか遊園地だとかそんないかにもデートって場所ではなく
図書館でもプラネタリウムとか公園とかでもなく
「そう、ここ」
何故か、本当に何故か俺には理解できない
まさかこんなとこに来るなんてさ?
「....なぁ?もっといいとこ行ってもいいんだよー?お金なら気にすんな?拝借したしチョロ松のおこづかいから」
俺たち全員おこづかい制なんだよな....
この年で情けない話だけど
理由?
あー、なんか俺のせいらしい
俺に持たせたらろくなことに使わないからって、松代もとい母さんが全員をおこづかい制にしたんだよ。
連帯責任よ!なんて言われて、他の兄弟に散々文句言われてさー
やってらんねーよな?
たく、百万ほど競馬ですったくらい多目に見てくれたってよくない?
俺、長男として結構働いてるよ?
そうおもわない?基本的に自宅警備員だけどー
それも立派な仕事だっての
この世界じゃな....?
まぁ、指パッチンで基本的に物は出せるから不自由はしてないけどさー
それはさておき
そのことを気にしてくれたのかと思ってしまう場所だ。
「ううん、ここに来たかったの....」
すっと扉に手をかけてその中に入っていく鈴音
その後を黙ってついていく俺
本当に何を考えてるんだかな。
こんな場所楽しくもないだろうにさ?
その場所とは....
ほぼ廃墟みたいになってる、専門店街だった。