第19章 金木犀の香りはデートの予感?
どさくさ紛れにデートを承諾してしまった。
熱めのシャワーを浴びながら、ボーッと考えてた。
相変わらず真っ黒な浴室
もう慣れてしまった今では、考え事をするのにはうってつけの場所だ。
あーしまったわ、なんでちゃんと考えずに承諾してしまったんだろう?
それはきっと、おそ松があんまり優しく頭を撫でるからだ。
後悔しても時すでに遅しだ。
後の祭りってやつ?本当についてない。
ざぁっとお湯が排水溝を流れていくのをみながら、はぁっとひとつため息をつく。
約束は約束....
黒い石鹸を手にとって、猫型のスポンジをもんで泡を作る。
柔らかい泡を体にまとわりつかせながら、うんうんと唸る。
ラベンダーの香りが全身をつつめば、少しだけ気分が落ち着いた。
まぁ、なにかされかけたら鉛弾をぶっぱなせば問題ないよね。
ここでいくら考えたところで、デートがなくなるわけではない。
バスタオルを頭に被せて、甘ロリを間違った方向へ進化させた部屋に戻る。
この部屋は正直まだ慣れない
と、いいたいが慣れてきてる
これもまた悩みの種の一つだ。
「ん?」
さっきまでなにも置かれていなかったベットに、なにかがおかれていた。
その何かを手にとると、ふっと自分の顔が綻んでいくのがわかる。
ほんと、毎回思うんだけど
いつの間に用意するの?
差出人は言うまでもない....
薄紅のメッセージカード
ー今回はぜーったい俺の選んだ服着ろよ?ー
根にもってたのかなんて笑う。
まぁ、約束は約束だから。
自分を納得させるためにそういい聞かせ、服に袖を通した。