第19章 金木犀の香りはデートの予感?
「まっ、俺は鈴音のやさしー気持ちもわからなくもないけど?」
にかっと笑って優しい言葉をくれる。
なんだかんだこうやって助けてくれるおそ松が、正直苦手。
「別に、優しくなんてない」
ひねくれたことを言えば、ほら?
またそうやってにかって笑うでしょ?
「んー?じゅーぶん優しいと思うけど?まっ、今回は優しさが裏目に出ちゃっただけだろ?」
こいつ
本当に落ち込んだ時にかぎってこうだ.....
気のせいだよね?
じゃなかったらものすごく嫌だ
なんでこんなに心がざわつくんだろ?
素直になれない心。
「私は....ただ....自己満足のためにやってるだけだから」
「かー、素直じゃねーな、ほんと」
くしゃくしゃ雑に撫でられる手が、優しくて暖かい
こうやってひねくれたことを言うのは、きっとそれをおそ松が否定してくれるから。
「なぁ?」
そんなことを考えていれば、声をかけられる。
「俺いったよな?ダンスパーティーに出ていい条件?一つはダンス、もう一つはまだ伝えてなかったよな?」
にかっと笑うその顔が、いつもは憎らしくてたまらないのにどうしてか今日は嫌じゃない。
「.... 条件ってなに、事によってはのむ」
「あれ?あれ?なんで?今日はあれなの?素直だねー?」
ちょっと嬉しそうなおそ松
「なんでそんなにこにこしてんの?気持ち悪」
口を開けば出てくるのは悪態ばかり。
本当に思うんだけど、どうしてこんなにも素直になれない?
素直にありがとうと言いたいのに....
祭りの時もそうだった
言えない
おそ松だけには
どうしても....