第18章 お茶会にはイチョウを添えて
「チョロ松くんて、料理得意だよね?この間手伝ってもらってすっごい助かったんだよ 」
私の一言に首を傾げて、長い袖で口に手を当てて猫目になる。
な、なんだそのなにかしら考えてる感じ。
私なんか変なこと言ったかな?
「十四松くん?」
私が呼び掛けると、ピクッと反応する。
前から思ってたんだけど、十四松くんの頭の一本たってる毛ってさアンテナかなんかなのかな?
「....」
「....」
そしてなぜに見つめあってるんだろう?
「イガグリ」
「イガグリ?.... り、りんご」
そしてなんだって、秋の味覚をしりとりしようとしてるんだろう?
「リンゴ!鈴音ちゃんリンゴ好き!?!」
ガタンと立ち上がる十四松くん、おおっ勢いがヤバイよ。今ガチャンっていったよ?
切り株が揺れるとか、十四松くんどんだけ怪力なんだ?
「今日の紅茶ね!金木犀なんだ!」
「そこはアップルティーじゃないのか!!
って金木犀?」
私はいつのまにか入れられていた紅茶にそっと鼻を近づける。
暖かい熱気が上がってくると同時に。どこか懐かしくて甘い香りがふわりと広がった。
「すごく....いい匂い」
砂糖をいれずに、そっと口のなかに紅茶を飲むと
紅茶本来の柔らかい甘みと、金木犀の優しい香りが口のなかで溶け合って体に流れた。
「美味しい....」
「でしょでしょ!この金木犀は僕が摘んだんだよ!!」