第18章 お茶会にはイチョウを添えて
「.....黙ってようって思ったんだ」
モゴモゴそう言い出す。
どうやら私の顔を見れないほどに恥ずかしいらしい。
うん、普通ならさっきのエスコートとかのほうが恥ずかしがるような気もするんだけど
「僕、とゆうか僕ら、トッティとカラ松兄さんしかお料理しないから....このサンドイッチが僕の初めて....っす」
えへへって照れたように笑う十四松くん。
「どうして、ここまでしてくれたの?」
なんて、思ったことを言えばバッと大きく両手をあげてニコッとされる。
「鈴音ちゃん、最近元気なかったから!鈴音ちゃんが元気ないと僕も寂しいっすからな!!」
たしかに、ここ最近の私は色々な事が積み重なって元気がなかったかもしれない。
ハロウィンパーティーを教えてくれたのも、お茶会を開いてくれたのもどちらも十四松くんが私を気にかけて思ってくれていた証拠だ。
「ありがとう、十四松くん....すっごい嬉しい」
あんまり嬉しかったものだから、じわりと視界が揺らぐ
きっと、たくさん慣れないことをしてくれたんだ、考えて悩んでくれたんだと思えば思うほどに心がじんわりと暖かくなる。
用意してくれた物も嬉しいけれど、それについやしてくれた時間がなによりも嬉しかった。
ざわざわと騒ぎ立てるイチョウの木たちが見守るなかで
照れくさそうに笑う十四松くんと、にっこりと笑う私たちの長い影がそっと重なる。