第18章 お茶会にはイチョウを添えて
十四松くんに手をひかれて、イチョウ並木をゆっくりと歩く。
落ち葉をざかざかと踏む音に、心が弾んだ。
それにしても十四松くんって本当に手が温かい、ホッカ●ロより温かいんじゃないだろうか?
なんて考えてたら、十四松くんがピタリと止まった。
「到着でーーーす!」
両手を大きくあげて、にぱあっと笑った。
イチョウ並木を抜けた先、少し開いた空間が広がる。
周りは全部イチョウの木で囲まれいて、黄色い葉っぱが降り積もる。
ちょこんと現れた空間には、丸太のイスと切り株の大きいテーブル。
さながら、七人の小人がお茶をしてそうな空間だ。
「可愛い」
「いっすか?いっすか?」
ワクワクした顔をして私を見つめる十四松くん、あぁもう可愛すぎる。
「すっごい素敵だね!気に入ったよ!」
その一言にぱあっと顔を輝かせる。それはまるで、お母さんの為に何かを一生懸命つくった子どもみたいなそんな感じ。
母親の気持ちとはこういうものなんだろうか?なんて錯覚してしまう。
ほわんと暖かくなるのを感じていると、すっと手が目の前に出される。
「じゃあお手をどうぞ、プリンセス」
....ん?
今ものすごく爽やかな声が聞こえた気がしたんだけど....
「どうしたの?」
えっ....今の声って
十四松くん!!?!!
う、うそぉ!!!
いや歌ってた時もそんなかんじだったから間違えないよね!!
なにそれ、なにそのギャップ!
「早くすわろー?!」
おっきい口をあけて笑う十四松くん。
やはり十四松くんは十四松くんというジャンルなんだと思う。