第18章 お茶会にはイチョウを添えて
「鈴音ちゃーーーん!僕の胸に飛び込んでおいでーー!!」
十四松くんの大きな声が、秋空に響き渡る。
窓からさぁっと風がふいて、レースのカーテンと黒髪がぶわっと舞う。
いやいや、まって十四松くん!
ここ、2階だよ!流石に無茶ってもんじゃない!?
一度落ちたことあるにしたって、流石に怖すぎる。
目をパチクリさせながら、自分の時を止めたままでいると、大きな声が響く
「僕がぜっったい受け止めマッスル~!!」
目に写るのは大きな口をパカッとあけて、太陽みたいに笑う十四松くん
何を思ったのか、笑顔がとても眩しくて
その笑顔につられて、私も大きくにかっと笑う。
「ぜっったい受け止めてよー!」
「あっははっ!!バッチこーーーい!!」
がっと窓の縁に足を乗せる。
怖いだとか、そんな感情を何処へ置き忘れたのか
勢いよく窓から十四松くん目掛けて飛び降りた。
ほんの数十秒が、ゆっくりゆっくりと私の中で流れる。
落ちる感覚はこれが初めてじゃないのに、何故だか今は飛び降りたい気分で
階段を降りて行くことすら煩わしい
その思いが爆発したのと、窓の下で大きく笑う十四松くんとが合わされば
怖いなんて感情は何処にもなかった。
落ち葉が下へ落ちていくのと同じように自然に
落ちる一瞬はまるで踊っているかのように、軽やかに
たどり着く先は、暖かい十四松くんの腕の中
「つっかまえたーーーー!!!」
「つかまったぁあー!!」