第18章 お茶会にはイチョウを添えて
何がいいのかわからないけど?
皆目検討がつかないが、きっとまた色恋やらなんやら面倒なことに違いない....
「あんたは、ハロウィンパーティーどんなに下手くそでも誰か踊ってくれんだもんね」
ほらやっぱりなんて考えながら、黙ってそれをきく。
言葉がささる
敵意を剥き出しにされた言葉がだ。
でも次の言葉はささる言葉でなくて悲しい言葉だった。
「私なんか、トド松様....あの日以来私のこと見てくださらなくなったのに.... 」
ぎゅうっと人形を抱き締めて、ボロボロと涙を溢すアザゼル
「アザゼル.... 」
そっと手を伸ばせば、手をはたかれた。
「同情なんかしないで!あんたなんか!あんたなんか!だいっきらい!!!消えてよ!」
そう言って走っていくアザゼル
金色の髪がその場から消え去る。
呆然とそこに立ち尽くしながら、そっと胸に手をあてる。
消えて....か....
『あんたなんか、消えればいいの!あんたなんか!』
ぐっと手に力をいれながら、下をむく。
あぁ、嫌なこと思い出しちゃったな。
....いや、もう過去のことだ。
今さら思い出しても、それは取り返しがつかない過去のこと。
それにしても、悲しいことを言わせてしまったし、言われてしまったなと思う。
その場から数歩歩いて、そっと窓を開ける。
風がふわりと髪を撫でて部屋に入ってくる。
秋で色づく窓辺、青い青い空を見てため息をつけば、それをかき消すように大きな声が私を呼んだ。