第18章 お茶会にはイチョウを添えて
結局あのネコ型のパンケーキ食べれなかった。
だってだってね、目が合うんだよ!
効果音つけるなら[にゃーん❤]なんだよ!
食べれるわけない!拷問だよ!一種の!
そんなことを考えながら廊下を歩いていたら、どっからかイタッて声が聞こえた。
なにもう、イタ松かなんか?
勘弁してよ、パンケーキで結構やられてんのに....
いや、美味しかったけどもさ
声のする方に歩けば、見知った顔が一つ。
金色の髪が、人形を相手に一生懸命踊っていた。
「アザゼル?」
後ろから名前を呼べばばっと振り向かれる。
「な、なんですか.... 」
横を向きながら視線を外すアザゼル。
一生懸命隠してるつもりなんだろうけど、丸見えの背中の後ろの物。
「ダンスの練習してたの?」
そう問いかければ、キッとこちらを見て顔を赤くする。
「そうよ!悪い!?」
そんな怒らんでもよかろうともおもったけど、どうやら見られたのが恥ずかしかったらしい。
「難しいよね、私も全然上達しないからさ」
なんて言えば、後ろにあった人形をぎゅうっと抱き締め盾にしながらこちらを睨むアザゼル
どうやらトド松くんを模した人形のようで、首についたリボンが可愛いピンク色だ。
「可愛いね、そのお人形」
「なにそれ、嫌みかなんか?!」
はぁっと一つため息をつく、トド松くんの物があったら大人しいんだけど
やっぱり、嫌われたままみたい。
「....あんたはいいよね」
ポツリとこぼされた一言に聞き入る。