第17章 水の底でダンスを....
密着する体が恥ずかしい。
こんな、状態を続けろって?
ただの拷問じゃねーか!
「レディ次はナチュラルターンだ、足を右に...」
カツンと静かに神殿に響くブーツの音
薄暗い海の底で、二人きりでダンスを踊る。
「....カラ松?」
私が名前をよべば、とても優しい顔でどうしたと笑う。
「ごめん、付き合わせて....いつも酷いことばっかいってんのに.... 」
踊っているからだろうか?
それともこの空間のせいだろうか?
普段では出てこない言葉が私からこぼれる。
こぼした言葉に、少し大きく目を開けた後に、ふっと笑われた。
「レディ、レディがどんなに悪態をついたとしても俺にはわかっている」
ピタリと止まるステップ、お互いがお互いを見つめたまま....
まるで時が止まってしまったみたいに静まる
うすぐらい海の底を照らすのは、明るすぎる月の明かりだけだ。
「わかってるってなにを?」
私の声が神殿内で響く。
「いったろう?ここは俺の心の中だと?」
響く声は低く、優しい
穏やかな波の音に似ている
「ここに入れるのは、俺が心の優しい者だと思うやつだけだからな」
心の優しい者?
そんな馬鹿なと考えていたら、どうやらそれを悟られてしまったらしい
「ふっ、嘘など吐いていないさ、ここは俺の心の中、俺の心次第でレディをこの部屋から弾くこともできる.... 」
繋いだ手を名残惜しそうに離して、カラ松は自分の胸に手を当てる。
「ここにレディが存在していること事態がなによりの証拠だ....」