第17章 水の底でダンスを....
本当に調子が狂う。
イタいくせに、なんで無駄にかっこいいんだよ。
「とりあえずレディ、まずはクローズド・ポジションからしてみようか?」
なんじゃそりゃと首をひねれば、そっと手をとられて口づけられた。
いきなりのことに驚く私、真剣な顔でじっと見つめられる。
凛々しい眉毛がカラ松をさらにかっこよくみせる。トクンっと胸が脈打つのは、きっとこいつがかっこよすぎるせい。
「嫌なことを忘れて俺に身を任せればいい.... レディ」
すっと背にカラ松の大きな手がまわされて、優しく引き寄せられる。
強すぎず、だからといって弱すぎない絶妙な力加減。
守ってくれる、この人なら身を任せられると考えてしまう安心感....
「レディ、俺の肩に左手をおくんだ 」
低い声が耳元のすぐ近くで聞こえる。
黙ったままそっと手をそえた瞬間、右手をゆっくりと繋がれ横へ持っていかれる。
「上手だ、レディ」
ばっと上を向けばその先に優しく微笑むカラ松。
なに、これ、こんなの反則じゃない?!
心臓が煩く脈打てば、ぐるぐると頭が回る。
「顔が赤いな?レディ熱か?」
いつもイタいくせにこんな時はイタさが見えない、それをわかっていない天然があわされば、もう向かうところ敵なしというやつだ。
「これが、クローズド・ポジションだ。踊っている最中は基本的にこの体勢を維持しなければならないからしんどいかもしれないが、頑張ってくれ」
なぬ!?!
私はとんでもないことをカラ松に頼んでしまったのかもしれない....