第17章 水の底でダンスを....
「さて....と、じゃあレディ、始めようか」
銃発射事件から一転、いきなり真面目になるカラ松。
「教えるといったんだ、俺は甘くはないぞ?」
真剣なまなざし、いつものイタさは何処へやらなどと考えてしまうほどだ。
「ところでレディ、レディが教えてほしいのはウィンナ・ワルツか?それともイングリッシュワルツか?」
う、ウィンナ?なにそれ、コーヒーかなにかのこと?イングリッシュ?って英語?
なに?またイタい発言かなんかなの?
カタカナ嫌いわかんない。
私が困惑していると、カラ松もまた困った顔をする。
「なるほど、どれがどれかもわからない感じか?おそ松も人が悪いな.... 」
自分の兄弟がすまないと謝りながら、丁寧に私に解説してくれた。
「イングリッシュワルツというのは、スローワルツのことなんだ」
なんだそれ?ワルツにスローもクイックもあるの?初めて知ったわ!
「そしてウィンナ・ワルツというのはだな、テンポの早いワルツなんだが、回転が主なんだ。ちなみに日本で言われているワルツのほとんどはさっきのスローワルツのことだ。」
なんだそれ、とりあえずウィンナは早いってことでいいのか?なんでスローワルツはスローなのに、早いのはウィンナなの?
統一してくれよ!
心の中のツッコミが顔に出ていたのだろう、ふっと優しく笑う。
「大丈夫だレディ、言ったろ?できるまでちゃんと付き合うと、だから不安そうな顔をするな」
ふわりと暖かい手が頭に降りてきて、そっと撫でられた。