第17章 水の底でダンスを....
あっけに取られた。
その場所が思っていたのと全然違っていたから。
満月が静かに夜を照らす世界。
月が海を照らし、海が月を映し出す。
2つの月が見える海面は、どちらが空でどちらが海かわからなくなるほどだ。
深い深い青の空と海は、境界線がないほど溶け合っていた。
静かに目を閉じれば波の優しい音が、ざあっと耳に語りかける。
白い砂浜が月に晒されて、白くほんのり青く染まる。
「レディ、どうした?ぼうっとして」
あまりにも美しい光景に声がでない。
「....綺麗、すごく」
ただ思ったことを口にすれば、ふっと笑う声が聞こえた。
「レディ、レディは海が好きか?」
そう問い掛けられれば、こくりと小さく頷く。
大きく目を見開いて、その光景を確りと目に焼き付ける。
「俺も海が好きでな。色ももちろんだが、音も好きなんだ」
カラ松の言葉にふと横をみれば、いつのまにかグラサンを外していて顔が見える。
きりっとした眉毛が凛々しいが、海を見つめる瞳はただただ穏やかで....
その穏やかな表情に目を奪われる....
そっと目を閉じて、波の音を聴くカラ松
「レディ、俺はな海の音は人の心臓の音と同じに思うんだ。聴いているとな、心が穏やかになるだろう?だから俺は海が好きなんだ」
ふっとまた笑って、二人並んで少しの間海の音を聴く
あぁそうか、カラ松は海と同じなんだとそう思った。
海のようなどこまでも深い深い優しさ、カラ松は海そのものなのかもしれないね。