第16章 紅葉は紅く染まる
血の味が口に広がっていく。
牙をゆっくりと沈めれば、甘美な味に酔う。
「あっ...ううっ」
つうっと涙を溢れさせながら痛みに耐える鈴音ちゃんの髪を撫でる。
本当は優しくしてあげたいし、痛いことなんてもうしたくはないけど
まだ少し残っている薬が、僕のぎりぎり残していた理性をたちきる
「はぁっ....美味しい.... 」
ポツリと言葉を溢せば、鈴音ちゃんはよかったと微笑む
痛くて痛くて辛いはずなのに、健気に痛みに耐えるその姿に心臓がうるさいくらい脈打つ。
「まだ....はぁ.... 足りない.... 」
そういえば、僕が噛みやすいように、顔を横に向けて、ぎゅうっと手を握られて目をつむる。ぺろっと傷口を舐めれば、びくりと跳ねる身体。
頭を何度も優しく撫でると、目をつむりながらそれにすがる。
超絶可愛い....... 可愛いすぎるでしょ
普段は口も悪いし、確りしているような感じなのに何このギャップ。
もう....普通に好き、好きすぎて怖いくらい。
理性を消し飛ばす可愛さに、思わずぎゅうっと鈴音ちゃんを抱き締めた。
「チョロ松く....もう、血はいい.... の?」
弱々しい声だ。
頼むからもう、煽んないで
「うん、もう血はいい」
ニコッと笑えば、そっかとホッとしている鈴音ちゃん
頬を撫でれば、じいっと僕の顔を見てくる
あぁ、もうめちゃくちゃに可愛がって
めちゃくちゃに鳴かせて
めちゃくちゃにしたい