第16章 紅葉は紅く染まる
「しょっぱいよ鈴音ちゃん」
困ったように笑うチョロ松くん、ふんわりと赤い頬、優しい瞳が、きゅうっと締め付けられるような胸の痛みを連れてくる。
着ていたままの、ワイシャツをばさりと脱ぎさればさらに頬を赤くする。
綺麗な身体だ、傷一つない
白くて、でもちゃんと男の人
「なんか、恥ずかしいや」
いつのまにかまがまがしい紅から、優しい青い光に包まれた月がチョロ松くんを照らす。
「月と同じ、綺麗」
ぼうっとする頭で、思っていることをそのまま口にすれば
そっと頭を片手で包まれた。
ゆっくりと引き寄せられて、小さなリップ音が夜に溶けた
こつんとおでことおでこを当てて、ニコリと微笑まれる。
「ねぇ?血を僕にくれる?」
見つめ合う瞳に、緑と紅が混じる。
紅葉が紅へ変わる一瞬を宿したような、そんな変化の色。
頷く前に、また困った顔しながら
「でも僕、この間みたいに今日は加減できそうにない、それでもいいなら言って?
....なんて拒否権はないけどね」
少し強引、でもやっぱりまだ頬は赤くて
とさりと押し倒される身体
触れ合う肌と肌が心地いい
たとえ、血を大量に吸われて倒れてもいいと思った。
首にゆっくりと這うのは、チョロ松くんの柔らかい舌先
優しく頭を撫でられながら、ゆっくりと舐められればその行為に愛があることを思い知らされる。
「大好きだよ、誰よりも....鈴音が好きだ」
ゆっくりと沈められる牙、痛くないと言えば嘘
涙がポタリと落ちて、ベットに消えた。