第16章 紅葉は紅く染まる
ピチャンピチャンと響く水音。
いやらしい赤い舌が私の胸の突起を舐めまわす。
卑猥な水音が耳に響いて、自分の鳴き声も耳に響いて頭がぼうっとする。
「んっ、ふうっ.... 」
それを振り払おうとぐっと力をこめれば、感度があがり跳ね上がる身体は滑稽のなにものでもない。
目をつむり、目の前の現実を悪い夢だと言い聞かせる。
そんなとき、いきなり口から布を引っ張り出された。
うっすらと血に染まった布が空を舞って、パサリと音をたてて床へ落ちる。
「....ねぇ?どんな気持ち?優しかった僕に犯されるのって」
胸元から聞こえる声。
目と目があえば紅い瞳が私を映す。
いつもの穏やかな森の色じゃない、まがまがしい色した瞳。
ぎっと睨み付けポタリと溢れる雫が、頬をつたえば口にする言葉は一つだけ
「....私の知ってるチョロ松くんを返して」
「何を言ってるの?僕だよ.... 」
ぐっと力を手にこめれば食い込んでいくロープ
ギリギリと肌を擦られ、摩擦熱が肌を焼く。
剥がれ出す皮膚から流れるのは彼と同じ瞳の色の液体。
「違う、チョロ松くんは.... チョロ松くんは.... 人を傷つけるようなことなんてしない!」
ずきずきと手首から伝わる痛みよりも、目の前にある現実が私を痛め付ける。
「....違うよ」
胸から顔をあげて、じっと私を見つめたまま彼は話す。
「ずっと前から思ってたよ......僕はただ君が欲しかった」
への文字の口からでる言葉は真っ直ぐで、それなのに現実はねじ曲がっている。