第16章 紅葉は紅く染まる
肌がさらけ出される。
左右にはらりと滑り落ちる黄色いワンピースパジャマ。
僕のとお揃いだよって、十四松くんがくれたものだ。
「君に黄色なんて似合わないよ」
寝ていたこともあり、下着はつけていない。
そうっと胸元へと落ちてくる冷たい指先。
ギッと睨み付ければ、先程と違った表情が私を見つめる。
「そんなに.... 嫌い?」
ポツリと言葉を落とせば、胸元に降りてくるさらさらの髪の毛。
「....欲しいんだ、どうしても」
震える唇が、チクリとした痛みとともに胸元の一点を紅く染める。
「欲しいんだ.... 」
うわ言のようにそう呟くその人は、なおも私に紅を散りばめる。
胸元、お腹、腰、内腿
身体中に紅を散りばめられれば、身体の上は紅葉が舞い落ちたみたいに紅く染まる。
埋め尽くされる。
もとの色がわからなくなるくらいに....
跳ねあがる身体を落ち着けるために、すうっと息を吸い込む。
鉄の匂いがする、血の匂いだ。
それに混じってかすかにする香り。
たくさんこの匂いに包まれた。
その人と同じで優しい香り。
優しい声と、優しい手のひら
あぁっそっか....
わかったよ
貴方が誰なのか....
ねぇ?嘘でしょ?貴方がそんなことするはずない
いつも優しい貴方がそんなことするはずない
紡ぎたい名前を呼ぶことができない。
そうでしょ?
.....チョロ松くん
塞がれた口から聞こえるのは、伝えたいことを伝えられずに鳴る不協和音だけだ。