第16章 紅葉は紅く染まる
ガシャーン!!
頭が痛い。床に散らばるのは部屋を照らしていたランプだ。
「がっはっ.... 」
胃の内容物が一気に上がってくる。
焼けるように喉が渇く。
びりっびりっと輸血パックを破く音が、遠くに聞こえる。
何個も何個も輸血パックを飲み干した。
それなのに全然足らない。
「はぁ....く、すり.... 」
紅い薬が手の中で転がった。
水、血?
どっちで飲めば喉は潤うんだろう?
わからない....
足らない
何が?何が?足らない?
はっと鏡をみれば、目の色が紅く染まった誰かの姿。
これは誰だ?
まがまがしい色の瞳が、心まで染め上げていく。
コンコンコン
ドアからノックの音がした。
「鈴音です。大丈夫?」
喉の渇きが一瞬でなくなった。
すうっと黒に戻っていく瞳の色。
急いで指をパチリと鳴らせば、都合よく片付く部屋。
「はいるよー?」
君の声が聞こえる。
「どうぞ」
短めに答えれば、心配そうな顔した君がいた。
「なんか、最近調子が悪いってきいたから」
「大丈夫大丈夫!なんともない」
笑ってそう言えばそう?なんて首を傾げる。
君の首筋をじっとみれば、ゴクンっと喉がなる。
「そうだ、お茶いれてきたんだよ!」
うっすらと赤い色のついた白いティーカップを差し出される。
「これ....?」
「紫蘇茶だよ、疲れてるときにいいんだって」
優しく笑う君が、愛しいのに
「あざトッティが教えてくれてね!ほんと女子かって話だよね」
他の男の話をする君が
嫌い