• テキストサイズ

【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第16章 紅葉は紅く染まる



「ぐっ!!?!」

がっと口の中に入る指先。
冷たい手だ。

口の中に血の味がゆっくりと染み出す。
ずきずきと痛む舌先。

「はっ、ははっ.... 死なせるわけないじゃない?ねぇ?そうでしょ?」

あぁ、紅い光が見える。
らんらんと闇の中で紅く光る目玉が二つ。

こんなまがまがしいものを目に宿すのは、誰?

「君がここで死んだら、どうしたらいいかわからなくなる」

指をゆっくりと引き抜かれた後で、口の中にまるめた布を入れられた。

これでは舌を噛みきることも、しゃべることもできない。

「強情な女だね、君は」

ゆっくりと髪を撫でられて、びくりとした。
あまりにも優しく髪をとくその人物。

「君の髪は綺麗だ」

そうっと髪を口元へと持っていくと、小さなリップ音が静かな部屋に響く。

四肢をベットにくくりつけた状態で聞く台詞ではない。

「でも、この匂いは嫌いだよ」

ポツリと言葉を吐いてから、さらっと髪の毛を離される。
さらさらと下へ落ちていく髪。

「全部染めてあげる」

うわ言のようにそう呟けば、また一つ二つとボタンを外されている。

やはりおかしい。

感じる違和感。

こんなに残酷な言葉を吐いているはずなのに、震えている指先。

揺れている瞳の色。
紅色ではあるけれど、おそ松の色ではない。

何かを塗りつぶしたみたいな紅。
悲しい色。


肌がさらけ出されるほど、震え出す指先。
目の前の貴方は、何を思っているの?
/ 682ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp