第16章 紅葉は紅く染まる
紅い薬が、心を染める。
ベットの上で眠ってしまっていた....
いつの間に眠ってしまっていたんだろう?
もう時間の感覚すらわからなくなってきていた。これもあの薬のせいなんだろうか?
それにしても喉が渇く。
とてつもなく渇くんだ。
ハッとすれば、ベットの周りに輸血パックが散らばっていて
ベットが血の海と化していた。
これは自分がやったんだろうか?
「飲みすぎでしょー!」
陽気な声が聞こえた。
笑ってる。
「お前どしたのー?最近おかしくね?」
ああ、おそ松兄さんか....。
「そんなことないよ」
その発言にふーんと一言だけ、まぁ飲みたいときはあるけどさなんて笑って言ってた。
人懐こい笑顔が、眩しい。
いいよね
兄さんは....
「そういやさ、鈴音この前俺のコーヒーに塩いれたんだぜ!ひどくない?!お兄ちゃん泣いちゃうよ!!」
なんだかんだで、誰からも愛される長男。
こんなに馬鹿なのに、どうしてなんだろうね。
「ごめん、調子が悪いから」
一言そう言えば、なんだよー、話くらい聞いてくれたっていいじゃんなんて駄々をこねる。
「なんかあったら言えよ?」
いきなり真面目にじっと見つめられて、言葉を失う。
「大丈夫だから」
にこりと笑えば、そっかと言って姿を消した。
なんでもないよ
兄さん
なんでもないんだ
紅葉が紅く色めく
血のように
紅く