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【おそ松さん】月下に咲くは六色の花

第16章 紅葉は紅く染まる



「....苦しかったよね、今外してあげる」

そっと口元に手を持ってこられた。
とった瞬間に大声をあげてやる.....

「....無駄なこと考えない方がいい」

ひやりとするほど低い声が、自分のしようとしていた事を見透かしているように思えた。

「....いくら叫んだところで、誰も来ないよ?」


逃げるという選択は出来そうにない。

「....いいね、いい眼だよ。覚悟を決めた眼。どこまでもつかな?」

感情のこもっていない声が、自分から体温を奪っていくようなそんな感じだ。

「震えてるの?」

カタカタと手が震える。
怖くてたまらない、こんな冷たい声聞いたことない。

「怯えたのもかわいいね」

ぞうっと背筋が凍る。
紅い月がそんな私をあざ笑うかのように見下げている。

自由になった口に、一本指が突っ込まれた。

「舐めて」

ゆっくりと口の中をかき回される。
私はその指をがりっと噛んだ。

パンっ!

頬に走る痛み。
一瞬何をされたのかわからなかった。
じんじんと熱くなっていく頬が、自分が叩かれたことを知らせる。


「あぁ、ごめん....つい、大丈夫?」

冷たい手がそうっと頬に触れる。
キッと睨み付ける。

「まだ、そんな顔できるんだね」

どこか冷めた声とともに冷たい手が離れていく。

「次噛んだら、殺すからね....?」

私の噛んだ指を赤い舌でつうっと舐めながら、ふっと笑う。

「くそったれ....」
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