第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
「一松兄さんだー!!」
嬉しそうに駆け寄る十四松くん、手に持っているのは紫色の猫耳。
「一松兄さんの分だよ!」
屈託のない笑顔で笑う十四松くんに、それを黙って受け取る一松くん。
「....似合う?」
「バッチリードオフ、ハイテンション!!!」
「照れますなぁ」
「兄さんめっさめんこいでー」
「いやいやあんさんほどちゃいまっせー」
嬉しそうな二人を見ていると、心が安らぐ。
「鈴音ちゃん、足を見せてね?」
いつまにか私の前に膝まずいているチョロ松くん。下駄を脱がされて、そっと手拭いをとかれる。
「うわ、痛そう。すぐ治してあげる」
優しい光が一瞬だけ私の足を包んだかとおもうと、痛みがなくなった。
「ありがとう、チョロ松くん」
「いや、ありがとうはこっちだよ。こんなになるまで皆を探してきてくれたんでしょ?」
ニコリと優しく笑われて、きゅっと胸が苦しくなった。いつも思うんだけどチョロ松くんて本当に優しい顔するよね。
「か、買ってきた....!」
ゼーゼー言いながらいつのまにやら、焼きそばとビールを両手に抱えているカラ松。いやこの場合はパシり松か....
「やったぁー、お兄ちゃんうれすぃー」
「クソ松、5秒遅かったな、死ね」
涙目になっている、パシり松に猫耳を渡すのはあざトッティ。
「これカラ松兄さんのだって、十四松兄さんからね」
「ふっ!似合うか?ブラザー、この俺の猫耳は!」
「なんで、カラ松兄さんだとイタくなるんだろうね」
辛口なコメントをされているのにも関わらず、そうかとカッコつけるそのメンタルを何かに生かせばきっとなんでもできると思う。