第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
キーーーーーーン、効果音をつけるならきっとこんな感じ。
「......い、痛い」
オレが一言そう言ったら、ぷくくと声がする。
「ぷっ、ふふっ、ダメ、おかしい、ふふっ!」
お腹を押さえて笑う鈴音、そんなにおかしかったんだろうか。
「ダメ、なんか、はー面白かった。キャラじゃないっしょ」
にこっと笑ってこちらを見る姿にホッとする。
よかった、笑ってくれた。
「そう言えば、一松くん私が誘ったときどうして行かないなんて言ったの?」
小首を傾げながら聞いてほしくない質問をしてくる。
「....別に」
理由をいうつもりはない。
「あー、気分じゃなかったとか?」
「....そう」
嘘をついた。
違う、本当はもっと別のこと。
「ふーん、まぁいいや、来てくれて嬉しいし!かき氷美味しいし」
あ、怒らないんだ。
ゴミくずのオレが来てくれて嬉しいなんて、本当変わってるよね。
「....ちょっと持ってて」
空になったカップを渡して、袖をごそごそとする。
目当てのものを探し当てて、そっと鈴音の髪に触れた。
チリンッと小さな鈴の音が、鈴音の結われた髪から鳴り響く。
黒猫の飾りと小さな鈴、紫のトンボ玉のついたかんざしが揺れた。
「なに?これ?」
「....かんざし」
さらっと髪をひとなでして、にやっと笑った。
「ありがとう」
にこっと笑う鈴音に、顔に熱が集まってくる。
それを悟られる前にぐいっと鈴音を腕の中に手繰り寄せる。
そっと鈴音の耳元で、言葉を紡げば鈴音は目を見開いてオレを見つめた。