第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
別に、本当にただの気紛れ。
たまたま祭りに来て、たまたま鈴音を見つけて、たまたま絡まれてたから....
だから....
たまたまだ。
いや、たまたまではないけどたまたま。
「....ん」
オレはマグロの串焼きの人間用を鈴音に渡す。
「いいの?」
いいも何も鈴音の為に買ったんだし。
「....いらないならいいけど」
「いや!食べる!ありがとね!」
スゴい嬉しそうな顔をしてオレから串を受けとると、嬉しそうに食べ始めた。
「んんっ、意外だ!おいひいな。なんかヘルシーな牛肉食べてるみたいだ。岩塩がええ仕事しとる!んふふ」
なんだろ、猫の餌付けしてるのとおんなじ気分になるんだけど。いい意味でね。
「....そんなにウマイ?」
そう聞けば、うんって満面の笑みで答えが帰ってくる。
....懐かしい。
チリンッとオレの首もとの水琴鈴が鳴る。
「それ、いつもつけてるの?」
はむはむとマグロの串焼きを頬張りながら、首を傾けてくる。
「.......うん」
その一言に、鈴音は困ったように微笑んだ。
「ん....ごめん、なんかあれなこと聞いたんだね」
そんな顔させたい訳じゃないのに、オレってなんでいつもこんなゴミくずなんだろ。
「そう言えば、さっきのかき氷ってあれ、なに味だったの?」
さっき?あぁ、野郎にぶつけたやつね。
「グレープ味だけど.... 」