第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
「お姉ちゃん一人?俺とあそばなーい?」
こんばんわ、イタ松を探しはじめて五歩ほど歩いたところです。
感傷に浸りながら歩いてたら、見知らんやからに捕まりました。
絡まれています。
やっぱり一人で行動するのは無理があったんだなと、今更ながらに後悔しております。
祭りなんだから浮かれた馬鹿はそこいらへんに、うろうろしているもんですね。
「もうさ、そういうのいいから道開けてくんない?」
イタ松を回収しないといけないんですよ、私は暇ではないんですよ。
あれ、なんかデジャビューだな。以前にもこんなことを思っていたような覚えがある。
「そう言わないでよー、俺とたのしーことしよーぜ?」
「いや結構です。お断りします。還ってください土に。」
あっ、しまった。つい本音が漏れてしまった。とりあえず言えるのは、チャラいのは馬鹿松とあざトッティだけでいい。
あっ、いいなこの呼び方。メモしとこ。
あざトッティっと.... よし。
「んじゃ、そうゆうことでさいなら」
心のメモにメモをして立ち去ろうとしたものの、手首を捕まれる。
「ちょっとちょっと、つれないねー?でもさ?つれないっていうのも、そそられるんだわ」
えっ?そうなの?こんな露骨に嫌がってんのに?マジかまじでか?趣味わりーなおい。
「あの、痛いんで離していただけませんかね?急いでるんですよ。」
きゃーっ!こわーい!なんて女の子の台詞は吐かず、ものすっごいひっっくい声で言ったにも関わらず離してくれない。
「あの?そろそろいっすか?」
振りほどこうとしても、振りほどけるもんでもない。
めんどくせぇ....。