第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
「あっ....イタ松回収しないと。」
すっかり存在を忘れ去っていた、痛い人物を思い出す。
「なに鈴音ちゃん?あっ!最初の痛い彼女演出で思い出したの?」
ぐはっ!
「鈴音ちゃーーーーーん!!!」
地面に倒れ付す私を抱き起こす十四松くん。
それを見ながら、すっごい楽しそうに笑うトド松くん。
「うん、やっぱそっちのがいーよ」
私の一言にキョトンとするトド松くん。
なにかを感じ取ったのか、そうだよそうだよと笑う十四松くん。
「さてと....んじゃイタ松探しに行ってくる、その前に」
ほこりをパンパンとはらいながら、目の前の屋台で立ち止まる。
「ど、どれにします?」
と屋台で困ったように微笑むお姉さん。
まぁ、店先で喧嘩されたらねぇ?
たくさん浮いているジュース、どれもこれもキンキンに冷えていて美味しそうだ。
そんな中で目に留まったものは、とても懐かしのもの。
手掴みで氷に浸かったラムネを2本引っ張りだし、お姉さんにきちんと謝った後に、お金を渡した。
2本のラムネを二人の前にずいっと、押し出す。
「え?なに?」
「ラムネだぁぁー!!!しゅわっしゅわっでっせーーー!!!!」
喜ぶ十四松くんと、困惑するトド松くん。
「下駄!ありがとね!」
ちらっと裾をめくって、古典柄の蝶が舞っている下駄を見せる。
「履いてくれてたんだ....」
にこっと笑って嬉しそうにするトド松くん。
「とゆーことは!鈴音ちゃん僕ともトッティともお揃い!」
はしゃぐ十四松くんを見ながら、大きく頷いてそうだよって笑った。