第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
そこで鈴音ちゃんがキレちゃったら、僕なんもできないじゃんか。
しかもあんな、ギラギラした狩人みたいななにしでかすかわかんない目で....。
.... 僕でもゾッとしたよ。
お馬鹿さんの頭を撫でながら、はぁっとため息をつく。
結局音沙汰なしで事は終えたけど、もっと色々してやりたかったのに、鈴音ちゃんに邪魔された。
結果的に、あの人間を助けちゃったし。
僕にそんなことさせないし。
かわりに思ってたことの、2倍くらい言っちゃうしさ。そのおかげで、ちょっと清々しちゃったし。
本当、この子って生意気だよね。
人間なんてって思ってたはずなのに、その感覚を鈍らせていく君が大嫌い。
まぁでも、悪くないかも.... ね。
そんな困ったさんの頭の上で、ピンク色の猫耳がチカチカして眩しい。
しかも十四松兄さんとお揃い。
「ねぇ?十四松兄さん?これって僕のだよね?」
こくんと頷く十四松兄さん。なおもぎゅうっと鈴音ちゃんを抱き締めたままで、眉をしゅんとたらす。
鈴音ちゃんから猫耳を奪って、頭に乗せる。
「似合う??」
「トッティ.... 嫌じゃないの...?」
不安そうに僕を見つめる十四松兄さんに、僕はニコリと笑う。
「十四松兄さんとお揃いできて、僕は嬉しいよ?それに僕可愛いから似合うでしょ?」
猫のポーズをあざとく決めたら、鈴音ちゃんにあざといと言われた。
「でも、似合ってる」
「トッティぴったりー!!」
ぱあっと嬉しそうに笑顔を咲かせる二人。
そんな二人を見ていたら、さっきまでのどす黒い感情が嘘みたいに溶ける。
そんな顔されたんじゃ、もう笑うしかないよ。
三人で笑う声が、祭り囃子に響いた。