第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
「....で?鈴音ちゃんがキレてどーすんの?」
ガヤガヤと人通りの多い中で、私はただいま絶賛お説教され中であります。
「だって、だってさ、十四松くんのこと馬鹿にされたから」
かっこよく十四松くんの元を去って、弟を拐ってくるから!なんて言っちまった自分が恥ずかしい。恥ずかしいったら恥ずかしい。
穴があったら入りたい、水ならその辺にあるから被るのも悪くないな。
「それはわかるよ!?わかるけどね!馬鹿なの!?ねぇ!?鈴音ちゃんは馬鹿なのかな?!」
スーパーボールすくいが後ろにある、水に浮かんでるな。被るか。
「全く!僕が幻影をかけたからよかったものの!社会人でしょ!?二十歳越えてるでしょ!?ほんとーに馬鹿なんだから!」
ぷんぷんと怒る、ドライモンスター。
これほどの屈辱はない。ないったらない。
「ごめんなさい」
私の素直な一言に一つため息をつくトド松くん。
「怒らないであげてほしいっす!」
私の後ろからひょこっと顔を出す、黄色い天使。
「鈴音ちゃんは、僕の為に怒ってくれたんだよ!だから悪くないんだよ!」
ぎゅーっと私をトド松くんから守るように抱き締めながら、私を庇う十四松くん。
なにこのいつもと逆パターン。
十四松くんの一言に下をむく。
逆に庇われてどうすんだ、私は。
しょぼんとうなだれる私に、ふわりと香るチェリーブロッサム。
「とに.....仕方ないんだから」
言葉は冷たいのに、頭に乗せられた手は優しい。