第15章 祭り囃子と夏の終わりー後編ー
「あんなのつけるの恥ずかしいよねー!」
嫌な言葉が聞こえてきた。
ものすごく嫌な言葉。
そっか、だから十四松くん自分でリンゴ飴を買えなかったんだね。
そっと横を見ると、十四松くんは下を向いていて表情が全然見えなくて。
「....へへっ、トッティに恥ずかしい思いさせちゃったな.... 」
ポツリとそんなことを言う。
黄色い猫耳の光がさっきより弱くなった。
十四松くんの心と連動してるみたいに、あんなにキラキラと光っていたのに....
あんなに楽しそうに笑っていたのに....
「ねぇ?十四松くん?猫耳ある?」
私は十四松くんに尋ねる。
下を向く十四松くんはぱっとこちらをみて、何も言わずにこくんと頷いた。
「私にも貸して?色はね?ピンク、ピンクがいい」
六色と言うことは、きっとこの色はあるって私にはわかっていた。
私の言葉におずおずと猫耳を渡してくれる十四松くん。
それを受け取って頭につけて、にかっと笑った。
「みて!!似合う?」
私は笑って十四松くんを見つめる。
それを黙って見つめた後に、こくんと頷く十四松くん。
「待ってて!十四松くんの弟奪還してくるからさ!」
そう言うと大きく目を見開く十四松くん。
十四松くんを悲しませるやつは、許さないからね。
さっき自分用に買っておいたミカン飴を十四松くんの口にほりこむ。
「それ食べ終わる前に、拐ってくるから!」
にかっと笑ってトド松くんの元へと走った。