第14章 祭り囃子と夏の終わりー前編ー
「お礼!全然足らないけど浴衣嬉しかったから」
そう言って、僕に大きなリンゴ飴をくれる鈴音ちゃん。
お礼って言われても?
鈴音ちゃんは僕の選んだ浴衣着てないはずなのに....
「あれ?気づいてない?ほら?」
そう言われて鈴音ちゃんの指差す方を見る。
「僕の選んだ帯だ!」
浴衣の色とあってるからぜんっぜんわかんなかったぁ!
「あと、根付けもね?」
バットとボールが木彫りで黄色いトンボ玉の根付けが帯からゆらゆら揺れている。
「つけてくれたんだ!僕スッゴいうれしい!!」
そう言って笑えば、鈴音ちゃんも一緒に笑ってくれる。
「やきうね!僕とお揃いなんだ!」
今度は鈴音ちゃんが、不思議そうに首を傾げる。
みてみて、とくるりと後ろを向けば鈴音ちゃんは大爆笑した。
「や、野球.... 馬鹿ってかいてる.... ふふっ、ははっ!十四松くんにぴったりー!」
筆字で大きく書かれた文字!
スッゴいでしょ!これ見たときぜっったいこれ着ようって思ったんだ!
「よく似合ってるよ」
にっこり笑ってそう言われたら、なんか僕照れる。
それを隠そうとして、ガリガリと鈴音ちゃんがくれたリンゴ飴を頬張る。
「あんまー!!!食べてみ鈴音ちゃん」
えっ?と一言もらす鈴音ちゃん
....あっ
しまった
ついいつもの癖で....